Aerodynamik - 航空力学

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「さくら学院バトン部」の楽曲がやばい、ロリコンの壁を軽々越えてくるその魅力

http://www.ldandk.com/twinklestars/disco-101128.html
http://itunes.apple.com/jp/album/dear-mr-socrates/id405884610 (iTMS)


Perfumeの所属する芸能事務所Amuseに、「さくら学院」というユニットがある。*1 アイドル、と呼ぶには些か幼い中学生くらいの女子を集めたグループで、恐らくはそれ自体を売ることが目的なのではなく、将来の活躍の為の育成/修行の場として機能させることを主眼としたものなのだろう。「ももいろクローバー」を擁するスターダストプロモーションでも、同様のコンセプトで「私立恵比寿中学エビ中)」という、同じく学校名のような名前のユニットを活動させている。AVEXも、それらと同世代のメンバーを集めたグループ「東京女子流」を今年スタートさせた。


こんなものに目をつけているのは多分ロリコンだけだ、と思うだろうが、「東京女子流」は、MISIA「Into the Light」などを手掛けたRoyal Mirrorballこと松井寛を編曲に据え、今のところ出す曲全てがハイクオリティーで、ロリコン以外の音楽ファンをも引き込む動きを見せている。
前出の「さくら学院」の内部ユニット「さくら学院バトン部」による、Twinklestars名義のプレデビューシングルとしてライブ会場と通販限定で発売されているCD「Dear Mr.Socrates」、ここで作詞/作曲/編曲を手掛けているのは、なんとCymbalsの沖井礼ニ。実際聴いてみると、まさに初期Cymbalsサウンドの佳曲だ。「Dear Mr.Socrates」というタイトルのセンスも、Cymbalsファンならにやにやしてしまうだろう。

デタントまがいは好みじゃないの
和平交渉聞こえないふりするの


ソクラテスにウインクして街へ飛び出そう
不可知論に背を向けたら 世界は思うまま

こんなCymbalsばりの歌詞を少女に歌わせるとか、もうずるいとしか言いようが無い。クレジットにはMIKIKO先生の名前もあり、この曲にMIKIKO振付でバトンを持って踊っている。PVの監督は、Cymbals作品を多数手掛けた山口保幸によるセンスの良い作品という念の入り様だ。なお、Cymbalsのもう一人、矢野博康も、17歳の南波志帆をプロデュースし、素晴らしい仕事振りを見せている。


Perfumeのブレイク以降、派手に売り出されるそれなりに投資されたアイドルだけでなく、こういったマイナーアイドルや地下アイドルですら、音楽ファンを引き付ける様な楽曲を書く人達に仕事を依頼するようになったのはとても面白いことだ。宇多丸が言うように、アイドル楽曲の音楽的底上げ効果が起きている。「ももいろクローバー」も、注目を集めたのはニコニコ動画で名前を隠して活動し人気を集めていたヒャダインこと前山田健一の作品だし、まだまだマイナーなTomato n' Pineは、デビュー曲から玉井健二率いるプロデュース集団agehaspringsの元で、名曲を連発している。


自分にはローティーンアイドルを愛でる趣味など無い、と一応言い訳がましい事を言っておいたりしてみるが、そんな態度では今しか聴けない面白い楽曲を見過ごしてしまうし、それこそインディーズ時代のPerfumeも同じことだ。


偏見の壁を乗り越えて、面白い音楽を探しに行こう。