Aerodynamik - 航空力学

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中田ヤスタカ楽曲大賞2010に投票するよ

http://ystkma.blog.shinobi.jp/


今年も中田ヤスタカ楽曲大賞の時期で御座います。
対象楽曲数を見てみると、07年/64曲、08年/73曲、09年/34曲、そして10年/59曲。昨年ちょっと落ち着いたかと思ったが、またハイペースに巻き返してきた。活動としては、本体のCapsuleでアルバム一枚、「LIAR GAME」のサントラ一枚、Megのアルバムが一枚とシングル二枚、Perfumeのシングルが三枚、そしてリミックス仕事が幾つか。ごりごりのエレクトロブームも一段落して、そこからどう聞かせるかが楽しみだった一年だったが、トラック自体はそれほど大きく方向転換があった訳ではなく、寧ろ手堅く自分のカラーを守りつつ、エフェクトや空間の使い方の変化で聴かせる方向性だったと思う。



楽曲部門(持ち点10pts、最大6曲)

楽曲   配点  
Perfume /
ナチュラルに恋して
不自然なガール/ナチュラルに恋して(通常盤) 3 FM音源のような粒の立った音色使い、「間」を使ったホワイトファンク的リズム、そしてインテリジェントな空気。「Love the World」を超えるScritti Politti感。いつに無く複雑なメロディにも圧倒される。こういう洗練された曲が似合う雰囲気をPerfmeの三人も身に纏い始めた。
Perfume /
VOICE
VOICE(通常盤) 2 Perfumeの三人は「Edge」の再来を望んだが、暗く重たい「Edge」ではなく、清涼感溢れるこの曲と今年の猛暑の夏を過ごせた事を嬉しく思う。裏で鳴るARP Odysseyのような細い音が奏でるアジア音階が、坂本龍一オタの琴線に触れる。
Capsule /
I wish You
PLAYER 2 去年最高点を配賦した「Hello」のアルバムバージョンをまた選んだら面白くないだろうと思ってこちらに。リズムの溜め、シンプルな音の重なり、「隙間」の使い方が絶妙。
Meg /
Passport
ASIN:B003P79XN0:image:small 1 トラックは王道80sテクノポップの文法のリファイン。ALFA時代の高橋幸宏ソロ的な。
Meg /
Secret Adventure (SL Remix)
ASIN:B0036G4CHW:image:small 1 今年のリミックス仕事はどれも手堅い印象がある分、今ひとつフックに欠けるのだが、この曲だけは異様に投げやりなまでに切れている。
Perfume /
FAKE IT
ねぇ(通常盤) 1 単調でフラットな「Edge」とは対極の捻くれた歌詞、捻くれたサウンド。ここまでエッジの立った音がまだPerfumeから出てくるんだ、その事に大いに安堵を抱いた。


2006年以降ぎちぎちに音を詰め込む印象のヤスタカだったが、今年のヤスタカ楽曲は、空間、隙間の使い方にかなり変化があったように思われる。特に、Perfumeのようなマスプロダクトにおいて、「ナチュラルに恋して」で「間」の美学を魅せたのは、かなり興味深い出来事だった。


Perfumeはアルバムこそ出なかったが、シングルが3枚とも非常にいい出来で、それぞれの曲に新しいカラーがあって、前向きな状況を楽しめた。(唯一「不自然なガール」だけが過去の自己模倣的な曲だった。)


Capsuleのアルバムは、ポップな曲は流石といった出来だったが、それ以外のインスト寄りの楽曲(それとPerfume「Lovefool」も)が、完全にジャンルの模倣過ぎて結構萎えるところがあった。ブレイクスやダーティー・ダッチの記号的なところ(ブリープやスネアの使い方)をポップスに取り入れた意欲作、とも言えないこともないのだが。


リミックス仕事については、今年は例年に無く幅広いジャンルの仕事を請けたが、どれも手堅すぎて、全体的に今ひとつフックに欠ける感じ。遂に来たかという印象の大物、ダンスポップの女王Kylie Minogueと、ポップフィールドにおけるダンスサウンドの先駆者TRFのリミックスには期待したが、予想の範疇を超えない収まりなのがやや残念。


まああれこれ言うけれど、2009年よりも確実に面白い年だった。



ミュージックビデオ部門(持ち点5pts、最大2曲)

楽曲   配点  
Perfume /
ねぇ
ねぇ(通常盤) 3 Perfumeというプロダクトの面白さを総合的に魅せるという点では「ねぇ」が圧倒的。あと、児玉作品における大本さんのクールな表情が個人的にはかなり気に入っていて、これは長年の付き合いの関作品では出せない表情。
Meg /
Paris
ASIN:B003YMU83U:image:small 2 一瞬でドラマティックな画を作る麻生久美子。Megも可愛いが、綾野剛がイケメンすぎて死ねる。


去年の不作が嘘のように、今年は児玉作品が二本もあり、関作品もなかなか魅せる作りで充実した一年だった。「二流」と呼ばれた関和亮氏も、サカナクションアルクアラウンド」で文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞を取るなど、*1 彼のCGを使わずアナログ手法で魅せる手法が評価された年でもあった。これだけ映像作品のクオリティのアベレージが高いアイドルプロダクトはそうそう無いと思うと、Perfumeは本当に環境に恵まれているなと思う。
選べるのは二本だけとなると、どうしようかと随分考えたけれど、どうせ自分が入れなくてもPerfumeに票が集まるだろうから、ムービー仕立てのMegの作品を選択。関作品については、「不自然なガール」の後半、ヴォーギングからの流れが出色。初めて観た時は鳥肌が立った。PVが無ければ確実に低評価で終わった曲だっただろう。