- 110903 「Saori@destiny ワンマンLIVE in Glad」@渋谷Glad
例えば、キャンディーズのライブにあって、Perfumeのライブに無いもの。ダンスミュージックとアイドルのリアルタイムでの融合。既存のCD音源に合わせて歌って踊る、そこから先の世界。Perfumeは、ヤスタカ音源の縛りにこだわるあまり、ライブ用のリアレンジやエディットで踊るという可能性をほぼ放棄してしまった。中田曲でないものは出囃子やインターミッション限定で使われ、また、ヤスタカによる楽曲のリミックスも、三角公演のオープニング程度。リミックスやエディット曲で歌い踊ることは無い。そして唯一、ダンスミュージックとしての進化の可能性を感じさせた「代々木 Disco Mix」は、その名の通り、代々木公演でしか披露されることはなく、また、それ以降、ライブにおける音楽的な進化の試みはほぼ成されていないといっていい。演出の進化に関しては興味深い動きを見せているPerfumeだが、ライブにおける音源だけは、何故かその一歩を踏み出さないのだ。
CD音源垂れ流しライブが悪いと言っているのではない。よく言われるように、クラブDJも、基本的には他人が作ったレコードをそのまま流しているだけだ。しかし、まっとうなDJのプレイであれば、同じ曲をiTunesのプレイリストで続けて流すのとは全く違う世界が、そこに構築される。そのミラクルが、今のPerfumeのライブには無いのだ。
2008年のPerfumeのブレイクとともに、Perfumeフォロアーと呼ばれる人たちが沢山現れた。Saori@destinyも、その一人に入れていいと思う。あれから数年が経ち、いつの間にか、表面的なスタイルを真似ただけのPerfumeフォロアーはいなくなっていた。そんな中、Perfumeとは違った方向性で、Perfumeがその可能性を捨ててしまった、ダンスミュージックとアイドルの融合をリアルタイムで起こすライブ、ある時突然Saori@destinyはその進化を自分のものにした。バックキーボードを二人付け、原曲トラックに手を入れ、楽曲間は巧妙にエディットされ、CD音源で踊るのではない、ライブでしか生まれないグルーヴ、ライブでしか生まれないアイドルとダンスサウンド、それらを、ワンマンライブの度に完成度を高めながら、Saori@destinyのライブは進化し続けている。今、「ダンスミュージックリスナーにとって最も刺激的なサウンドを体感できるアイドル現場」、それはここだと言っても決して大げさではないだろう。
膨大な量のCDを取り扱うタワーレコードが、その全ジャンルを通しての年間ベスト50枚に、Saori@destinyのアルバムを選出している。それほどに、楽曲の評価を高く得ているSaori@destiny。そして、そのCD楽曲とはさらに全く別の世界を見せる、彼女のダイナミックなライブ。楽曲の評価の割には全くメディアの露出も稼げず知名度も低いままなのが現実ではあるが、かつてPerfumeが夢見させてくれた、アイドルとダンスミュージックの融合、そのもっとも高い成果の一つが、この現場にはある。
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