上京したてのPerfumeが中田ヤスタカと最初に録音した3曲とは@Perfume LOCKS! 100909
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過去10年間を1年づつ振り返る企画、三週目は2003年。広島から上京した中学生達は、満員の山手線内で財布を掏られるというとんでもない被害に遭いながらも、前払い210円で乗り放題のバスに感動していた。
自分達で付けたユニット名「ぱふゅ〜む」が、上京時に事務所側により「Perfume」に変更されたエピソードの補完。
あ:Perfumeはそれまで平仮名で「ぱふゅ〜む」で、13画で、あのー信じてやってきていたんですけども、「13画だとユニットが上手くいく」っていうのがあって。それでやっていたんですけども、なんか、事務所のお偉い方の色々に負けて、英語表記になりました。
の:一応、ちょっと反抗はしたんよね。
あ:そうね。「平仮名じゃないと。やっぱり13画で私達はやってきたんで。」
か:「ここだけは譲れません!」てね。あんな怖い会長に向かってね。
あ:他は全部譲ってもいい位なのに、そこだけ譲りたくないって言ったのに、全部もげもげにされたね。
か:中学三年生にしてはさあ、よく言ったよね。
あ:確かに。あの怖いおじちゃんにね。
の:でも2、3年経ってから、「あ、英語表記にして良かった」っていう(笑)
あ:全然良かったね。全然すぐ思ったよね。(笑)
の:かっこいいねって。(笑)
あ:「英字だとこういうロゴとかもかっこいいもんね」みたいな。
か:「お洒落になるわー」(笑)
あ:全然感謝だよね。
か:全然感謝ほんとに。
あ:全然感謝してます。
自分達自らが名付け親だけに拘りがあったようで、あの大里会長にまで噛み付いたようだが、まあ平仮名のままだったら変なイロモノ扱いだっただろう。そしてその名義を再び引っ張り出してくるのが秋葉原迷走期。
中田ヤスタカとの出会い。怖かった、姿勢が良すぎた、といういつものエピソード。そしてヤスタカ楽曲最初の録音について。
あ:一番最初ね、「おいしいレシピ」と「スウィートドーナッツ」と「ジェニーはご機嫌ななめ」を録ったんですけど、「おいしいレシピ」がめっちゃ早口でね。みんな、一人づつ泣いたね。
か:泣いたね。
の:ほんと泣いた。
あ:「もうなにこの歌、歌えません口が回りません」
の:そんな事は言わんけど、悔しくてね歌えないのが。
あ:自分が悔しいよね、歌えんのが。
「おいしいレシピ」が上手く歌えず泣いたという話は既出として、ここで最初に録音したのは「おいしいレシピ」「スウィートドーナッツ」「ジェニーはご機嫌ななめ」の3曲だという。「3曲」という情報は以前からあったのだが、「代々木前夜祭イベント」*1で木の子先生が語った、Perfumeへの最初の提供曲は「モノクロームエフェクト」だという証言と真っ向から食い違う。「ジェニーはご機嫌ななめ」は広島時代からの持ち曲でもあり、また、「スウィートドーナッツ」は当然早い時期から披露されていた。とすると、ともにインディーズ2ndシングル収録曲である「モノクロームエフェクト」「おいしいレシピ」のどちらかが、後から録音されたことになる。亀戸古参ならご存知なのかもしれないが、2003年には「おいしいレシピ」はライブの定番曲である一方、「モノクロームエフェクト」は2004/01/03の最初のワンマンライブが初披露だと思うのだが、今手元にソースが無い。とはいえ、ライブでの披露タイミングと録音のタイミングは必ずしも一致するとは言えない。もっとも、三人が上京してから間もない2003年5月リリースの「BEE-HIVE」コンピレーションに収録された、「Perfume」としての最初の音源が「おいしいレシピ」である事を鑑みれば、ここは「レシピ」が正解と取るべきであろう。
アクターズスクール時代には触れた事も無かった「テクノポップ」への印象は、いつも通り。
あ:テクノねえ。最初結構びっくりしましたね。めっちゃピコピコしてるし。
か:ゲームみたいって思って。声が聴きづらいっていうの。
あ:「なんか声篭ってない?」っていうの。
か:そうそう。
あ:それがいいのに。
か:「声聴きづらい」しか思わんかったよね。
の:なんか後々さあ、音楽をよく知ってる大人たちの取材を受けたりして、「君達は凄い音楽をやっているんだよ」とか、「お洒落なことしてるんだよ」って言われて初めて気付いたけど、この時は全然そんな事知らないし、こんなジャンルも知らないし。
あ:当時はねー。
の:「なんかちょっと可愛いな」みたいな。「アイドルみたくって可愛いな」とか、そういう感じでね、歌ってたし。難しかったしね、「感情を出さずに歌う」っていうのが。やっぱり、難しいよね。難しかった。
あ:戸惑った時ですね。
の:そうだ。
今聴きなおしてもかなり声が前に出ていると思うが、それでもR&B楽曲などを中心として、スクールでヴォーカルを徹底して鍛え上げられてきた3人にとっては、ヴォーカルよりもサウンドが優先するアレンジなど、信じがたい事だっただろう。この「戸惑い」は、大いに彼女達を苦しめるが、このアレンジこそが、ヴォーカルとダンスを磨き上げられたBEE-HIVEのユニットの中で、唯一の個性と評価を勝ち取ることになると彼女達が理解するまでには、あと3年ほどの時間が必要であった。