Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 Perfume@代々木2日目


遠かった。メインステージも、花道先端のセンターステージすらも遠かった。自分の視力ではメガネをかけてもよく見えなかったので、雰囲気だけを楽しむ事にした。


相変わらず照明が素晴らしい。今回も松井さんの仕事だろうか。メインステージに構えるバンド演奏を見せるタイプではなく、肝心のダンスも見える範囲が限られる大箱であるがゆえに、ステージ上だけでなく広大な体育館の「全体」を魅せるセンスが試される場でもあるが、巨大ミラーボールと一階席にぐるっと張られたLEDケーブルも合わせて、公演タイトルにふさわしい完璧な世界観を構築していた。特に「7th」「願い」の美しさは特筆すべきだろう。


そして、今回のピークはやはり中盤の「YoYoGi DISCO MIX」だ。これは正に「DISCO MIX」であって、これまでやってきたような単なるメドレーではない。中田ヤスタカは、「ライブ用に音源を作る事はない」と明言していたため、ライブではCD音源のカンパケに固定の振り付けが付いて完成形、エディットするにしても、途中で切って繋ぐだけのメドレー形式が限界だと思っていた。つまり、武道館でのシティのような演出がPerfumeの「楽曲」での限界点と考えていた。そのため、カットアップマッシュアップ、ミックスを縦横無尽にぶち込んだ代々木DISCO MIXには相当に衝撃を受けた。増える楽曲、古い楽曲を、全体のグルーヴを壊さずにこんなにも柔軟にセトリに取り込む手法があったかと感激する事しきり。スクリーン上はアナログタンテやTR-808を駆使して次々に曲をかけ続けるPerfume。実に「DISCO」な演出だった。
そりゃ古参からしたら古い曲こそフルで聴きたいと思うのは当然なので、不評の声も聴こえたけれど、自分としてはライブ全曲でもこのようなエディットで突っ走ってほしいと思うくらいだ。まあそれをやったら彼女たちの体力が持たないけれど。


途中で、広すぎる会場をPerfumeが双眼鏡を持って走り回り客をいじって回るコーナー。正直パフォーマンスを見に来たので個人的にはそんな部分は要らないのだが、あのバカ広い会場で離れがちな観客と演者の距離を、観客側にPerfumeが接近する事で一体感を上げる効果は功を制していたと思う。あの面倒くさいコール&レスポンスよりも温かい目で見る事ができた。


毎回同じ事をやっていても仕方ないが、今回ラストで「Wonder2」を外して「願い」にしたのは少々失敗だったかもしれない。あの切ない多幸感、会場を包む一体感の中でライブを終えるのがとても幸せだったのだけれど。「願い」は静かに締めることはできるけど、「Perfumeでよかった!」という多幸感は得られない。


アンコールでのMCで、あ〜ちゃんは、芸能界という虚構の世界と、現実との乖離と不安を口にした。持ち上げられるだけ持ち上げられたこの半年、ワンマンライブがない=ファンとの接点もリアクションも得られないまま、虚構の世界でだけの活動が続き、大学に行けばそこでも「Perfumeあ〜ちゃん」として扱われる。本当の自分はどこなのか。普通の大学生のようにサークルだってやってみたいと思ったという。自らの立ち居地やモチベーションを見失っていたようだ。「青春を全てPerfumeに費やしてきた。ウチらにはPerfumeしかないけん、みんな見捨てんでね」。こんなことまで毎回広言してしまうあ〜ちゃんがいとおしくなったが、もう大丈夫。夏のツアーでは多くのファンが温かく彼女を迎えることだろう。自分もそこに加われるだろうか。PTAだからってチケット取れるかわからないからなあ。