Aerodynamik - 航空力学

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生存報告と状況記録


まあ自分の状況など心配してくれる人もいないだろうけど、無事です。


当日の状況を一応記録として書いておく。

地震発生

職場は新宿近辺。最初の揺れはあまりにもゆっくりと訪れたため、職場も殆どパニックにならず。免震ビルのお陰なのか。しかしその揺れは長く続き、次第に揺れが大きくなる。ばたばたとPCのディスプレイが倒れ始めた時に、ようやく皆が焦りを覚えて騒ぎ出す。震度は5強。仙台で震度7の速報をネットで知り、驚愕する。周りの部署はみな外へ避難していったが、危機感の優先順位がおかしいシステム部隊は、全員サーバー室に飛び込み、各種エラーチェックや全国支部との回線チェックを真っ先にこなす。程なくして、会社から帰宅指示が出されたが、東北地方の社員データを取り出したり、業後に実行する予定だった各種バッチ処理の設定し直し等で暫く勤務継続。その間も大きめの余震は続く。


ある程度作業が落ち着いて帰宅準備に入るが、その時点で既に首都圏内の全ての鉄道が終日運休見込みのニュースがTwitterで確認できたため、徒歩で帰宅を開始。


安否確認

固定電話、IP電話、携帯電話、全て輻輳と発信制限のため繋がらず。SMSも送信できず。3G回線は生きていたので、TwitterSkypeだけが頼り。安否確認と情報収集の全てをTwitter経由で行う。自分と同様に都心にいた身内とはTwitterのダイレクトメッセージでやり取りをして帰宅するか都内で避難するかを調整する。より東北に近い田舎の実家にいる両親の安否が気になるが、両親が災害伝言ダイヤルを使いこなせるわけが無く、結局は固定電話が復活した翌日まで連絡は取れず。
そもそも災害伝言ダイヤルは相手の電話番号を知っているような人間関係で機能するもので、Twitterでフォローしている知人友人の安否が随時確認できたことは、TwitterのID名しか知らない人間関係の方が多い自分のような人間にとってはパニックの中でも心の支えになった。
携帯電話での通話はキャリア側でかなりの制限がかかっていた。同じキャリア同士なら極まれに通じる事もあったようだが、貴重な回線は、より重大な状況で連絡が必要な人達のために空けておきたい。自分が怪我も無く無事なのであれば、わざわざ電話回線を使わず、できるだけSkypeなどの代替手段を使うべきだろう。
SMSは殆ど機能しなかった。新着MMS受信アプリを久し振りに叩いたが、全く受信は出来なかった。


情報収集

Twitterは現在何が起こっているのかを知る有力なツールであったのは確かだが、当然不確実な情報やデマも飛び交う。そして何より、それらを非公式RTによって広める輩があまりにも多く、RTだけでタイムラインの殆どが埋まってしまい、有用な情報が見えにくくなっていた。スマートフォンTwitterクライアントでなければ急速に流れるTLを追う事は難しかっただろう。公式RTであれば、元投稿が削除されればRTされた投稿も全て消え、また元投稿が同一なら複数人が同じ投稿をRTしてもTLには一度しか流れない。デマの拡散や無駄な投稿によってTLが埋められてしまう事態を回避できるのだが、大抵非公式RTを使う人達は、拡散したい投稿に「大変だ」「皆に教えてあげて」などの無駄な言葉を付け加えて拡散するだけで、その意味を考えない。また、RTをする際にも、その元発言の正確性や進捗状況を前後の発言を追って確認する、情報ソースのURLを開いて有用なものか確認する、そういったことは、普通の携帯電話端末からは難しいし、スマートフォンであってもそれを怠りがちだ。結局は、リテラシーの問題ということになるのだが。


文字情報だけでなくNHKなどの報道も確認したかったが、iPhone単体ではワンセグ視聴はできない。しかし、有志がustreamを利用して非公式にNHKサイマル放送を始め、NHK広報アカウントの中の人がそれを現場の判断で追認するという流れがあった。数時間後には、キー局のほとんどがustreamニコニコ生放送サイマル放送を行った。これは移動中でもTV報道を見ることができ、また停電している地域でも携帯端末でTV報道が見れるということで非常に意義のある対応だった。


徒歩帰宅

勤務地から徒歩で帰宅するのは初めての経験だったが、マップアプリとGPS機能で全く問題なく正確な位置の把握と経路検索を行うことができ、非常に助かった。しかし運の悪いことに、よりによってこの日に新品まっさらでがちがちに硬い革のビジネスシューズをおろして履いて来ていた為、長時間歩くことは非常に困難で、5時間歩き続けてやっと帰宅する頃には、足はとても痛み、あちらこちらから出血していた。ヒールを履いている女性も同様の事態になっただろう。履き古しでいいからスニーカーを職場に置いておくといいと思った。
帰る道筋のコンビニで何度かトイレを借りた。どこもかなりの列が出来ていた。調理不要な食料、パンやお握り、携帯電話の充電機や乾電池は、早い段階でどこも在庫がなくなっていた。もともと電池の持ちの良くない(というよりもTwitterやその他アプリを常用してバッテリーを酷使する)iPhoneユーザーなので、バッテリーパックは常に持ち歩いているが、不測の事態に備えて職場に置くための予備パックを買い増そうと思う。


帰宅

CD棚が傾いて数千枚のCDが散乱したり、食器が大量に割れたりといった事はあったが、古い家にもかかわらず幸い損傷は無かった。翌朝さっそくカルト系宗教の訪問勧誘が来たのには驚いた。不安に付け入るスキルが半端ない。


まとめ

とにかく、電話もメールも使えなくなった非常事態において、TwitterSkypeustreamが出先での連絡と情報収集の手段になることを初めて身をもって体験した。徒歩帰宅も、GPSに助けられた。持ってて良かったスマートフォン


それともう一つ。いまだに頻繁に大きな余震が続く中で、常に最新の災害情報を得ることは冷静でいる為にも必要なことだけれど、NHKをつけっぱなしにして、止まらない緊急地震速報や、震源地近辺の惨状、あるいは原発の情報を延々と見続けていると、さすがにPTSDとは言わないまでも、相当に精神的にきつい状況に追い込まれてくるので、気分転換とのバランスを取ることも必要だと思った。昨日も結局止まない余震の恐怖で朝まで眠れず、今日も割れた食器を片付けることも出来ずに余震の中でNHKをずっと観続けて、完全におかしくなっている自分がいる。
東京の人間ですらこれだけまいっているのだから、東北の方々はさぞかし物理的だけでなく精神的にも非常に辛い状況にあることと思います。電力が回復したら、心の回復の為に好きな音楽を聴いてください。