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Aerodynamik - 航空力学

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Perfumeを評価するということ@Perfume LOCKS! 101007

Perfume

http://www.tfm.co.jp/lock/perfume/


過去10年間を1年づつ振り返る企画、今回はPerfumeが遂にブレイクを果たした2007年。しかし、スタッフの余計なお世話で、トークのお題があらかじめ決められてしまったため、残念ながらこれまで言及されなかったようなレアな話題は生まれず。


Perfumeを評価する」という事について、二つの側面からPerfume自身の認識が語られている。


まず、木村カエラが「チョコレイト・ディスコ」をフックアップしたことでようやく「Perfumeを評価した」人達について。

あ:そこからですよ。


の:「あ、Perfume好きって言っていいんだ」って、みんなが思ったんですよ、それで。(笑)


か:ちょっとね、宇多丸さんとかには申し訳ないんだけど。


あ:そーなの。(笑)


か:カエラさんのお陰で、「あ、Perfume好きって言っても平気なんだ」みたいなね。思ってた方が多かったみたいでね、後で聞くと。


の:日本のお洒落アイコンですよ。そのカエラさんが好きって言ってたら、お洒落に見えますよ。ぶっちゃけ。


あ:そうねぇー。有難いですよ。

この話を聞くたびに、なんとも言えず複雑な気持ちになる。ファッションリーダーが認めてくれないと、例え自分がいいと思って選び取ったその選択すら肯定できない、そんなつまらない人種にようやく「認められた」ことがこんなに有難いとは。「Perfume好きって言っても平気なんだ」などと思った人達は、他人の評価を基準に生きているのがそんなに楽しいのか。

どんなときも どんなときも 僕が僕らしくあるために 「好きなものは好き!」と 言えるきもち 抱きしめてたい


槇原敬之「どんなときも。」


ブレイク前に、「どんな有名人がPerfumeファンを公言していたか」をチェックしていた人達は、単にPerfumeの訴求レベルや文脈の読み取り、あるいはフックアップの機会を確認していたのだが、ブレイクして数年経つ現在では、その方向性もまるで異なる。「あの芸人がPerfume好きを公言してた!」のようなことを一々騒ぎ立てる事で、Perfumeの良さを再確認しようとしている、自分の価値観を人任せにする人達が非常に沢山目に付く。寧ろこれは、ブレイクしたからこそ、尚の事増えていくのだろう。




そしてもう一つ、2007年当時に「Perfumeを評価していた」人達について。

あ:サマーソニックにもね、出るようになって。


の:「ポリリズム」リリース前だったね。


か:夏だったからね。


の:夢の、フェスですよ。


か:「フェス出たいね」って言ってたらね。イベンターさんが、「取って来たよー」って出さしてくれてね。だってまだ知名度も全然無くて、「アイドルって呼ばれてる人が、こんなフェスに出ていいのか」ってもう、かなり自分達でアウェイ感をね、凄い感じて。出る前めちゃめちゃ緊張したよね。


あ:すっごい緊張して。


の:しかもダンスステージだったもんね。


か:そうダンスステージ。


の:それ嬉しかったよね。


あ:めっちゃ嬉しかった。「あ、そっちじゃなくてこっちなんだ」みたいな。(笑)


の:次がRYUKYUDISKOさんていう。


あ:最高だったよね。

か:音楽を好きでそういうフェスに行ってる人に認められたっていうか。好きって思ってもらえたり、気に留めてもらえたってのが凄い実感できて。「あ、Perfumeの音楽って、そういう音楽の人からも認められるものなんだ」って凄い実感できた場所だったな、この時は。


の:あれは忘れないですね。


か:ほんと嬉しかったよねあれは。


あ:あれは嬉しかったねえ。

当時はそういう評価だったし、そういう楽曲だった。ロキノン系御用達グループとなった今ではありえないことだが、「チョコレイト・ディスコ」リリース時は、クラブミュージック専門誌にインタビューが掲載されたり、7インチアナログ盤が制作されたりもした。Perfumeはダンスミュージックとアイドルポップを高次元で融合させた、その当時は類を見ない音楽性で、「フェスのダンスステージ」の飛び道具として相応しい存在だった。しかし、「Dream Fighter」以降、あまりにも大衆化と女性受けを進めすぎた結果、「Dream Fighter」「ワンルーム・ディスコ」で勢いを落とし、「トライアングル」では累計で10万枚以上も売り上げを落とし、フェスのダンスステージに集うような人間は、その時点でもうPerfumeから興味を失っていた。
Perfumeをクラブで聴きたい」という人達が集まって始めた、最初でかつ最大のPerfumeクラブイベント「Perfume Night」は、400人以上を動員したにもかかわらず、「トライアングル」がリリースされた2009年6月に、イベントをクローズさせた。スタッフは皆、もっと新しくて刺激的なダンスミュージック/アイドルポップへと興味を移していった。耳の早い彼らは、2年前には既にK-POPのガールズダンスグループが打ち出し始めたアメリカの商業エレクトロとアイドルダンスポップを融合させたサウンドに食いついていたし、今も自分の耳だけを頼りに、貪欲に新しい音を追い続けている。「ファッションリーダーのお墨付き」など、彼らには必要無いのだ。
2010年に入ってからのPerfumeのシングルは、再び2007年当時に回帰するような楽曲を打ち出し、一方で女性受けとのバランスを図り裾野を広げたことで、売り上げは回復したが、しかしかつてのPerfumeを熱狂的に支持していた層はもう戻ってこない。


Perfumeをメジャーデビューさせた男」、現在は徳間ジャパンの代表取締役社長となった篠木雅博氏は、2008年初めにこう言っている。*1

レコード会社も営利目的の企業である以上、ポピュラリティは無視できませんが、いつの時代もヒットするものと言うのは瞬間的にはマイノリティなんです。世の中の全員が好きにならなくても、10人に1人が猛烈に惚れこんでくれる価値観は大事です。


Perfumeもアイドル稼業である限り、売り上げは伸ばしていかねばなるまい。しかし、売り上げと楽曲の面白さは決して単純に比例しないことは、残念ながら周知の事でもある。
先日、松田聖子の持っていたシングル連続首位記録を、遂に浜崎あゆみが更新したが、*2 松田聖子の記録が指す1980年から1988年の作品、つまり松本隆細野晴臣大瀧詠一財津和夫松任谷由美尾崎亜美佐野元春らの仕事を、浜崎あゆみの楽曲が超えた、となどは誰も思うまい。売り上げ記録の更新も必要なことだが、「音楽ファン」の希望はもっとシンプルだ。ただもっと「面白い音」が聴きたい、それだけだ。




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