Aerodynamik - 航空力学

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観劇記録 「イングロリアス・バスターズ」(Inglourious Basterds)アメリカ 2009年公開



吉祥寺東亜興行にて鑑賞。事前の評判に、映画が好きな人間はこれを褒めなければならない的な空気を勝手に感じてちょっとうんざりしていたけれど、まあ確かに面白いと言うか、映画を愛する人間ならこれを見なければ、という、「映画を描く映画」でもあった。
いつもの特徴的な会話の掛け合いの長回し、今回は強烈な腹の探り合いが加わり、緊張感が凄まじい。SS大佐を演じるクリストフ・ヴァルツの怪演っぷりも半端なく素晴らしい。タランティーノ作品に共通する70年代カルチャー愛は時代設定上薄いけれども、彼の「要素」は十二分に詰め込まれていて、ネタ掘りも含めて何度も楽しめそうだ。
クライマックスの「えーそうなるの?」(アメリカ人なら手を叩いて盛り上がる的なシーンでもあるが)という、映画のお約束ぶっ壊しには唖然。これがタランティーノ作品でもっともヒットしたという点も含めて、この映画の一方的な描き方は、彼の強烈な皮肉なのではないだろうか。単なるカタルシスなのか、観客が試されているのか、とても気になるところではある。


あと、内容に関係ないけれど、四ヶ国語が飛び交う、そしてそこが肝な映画なので、吹き替えではどう再現するのかなあと思ったりした。