Aerodynamik - 航空力学

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観劇記録 「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」(Vengeance 復仇)香港/フランス 2009年公開



新宿武蔵野館にて鑑賞。


なんてクサ過ぎる邦題。しかし内容はそれを遥かに超える圧倒的に甘美なクサさをもって迎えてくれた。


黒社会に生きる男達の美学。殺し屋同士の信義と約束。R15の壮絶なガンアクション。混沌としてなお煌めく香港とマカオの摩天楼と雑踏。仁義、愛、記憶、雨、その他もろもろ、必要なものが全て揃った、完璧な香港フィルムノワール
渋すぎる男達、時にユーモアも交えながら、まるで詩を紡ぐがのごとく、その死と隣り合わせの生き様が描かれてゆく。草食男子などと呼ばれ続けて忘れてしまっていた「男」の魂の震えを感じる、鳥肌の立つようなハードボイルド。


マフィアに対する復讐劇、というとこの手の映画の定番ストーリーだが、今作には捻りポイント「主人公に仕掛けられた悲しい定め」、これが中盤辺りからストーリーに変化と面白さを与え、全編目が離せない。人と人との繋がりを効果的に描く、何度も出てくる集団での食事シーンも印象的。ご都合主義的な部分は多々あれど、そんな事にケチを付ける様ではこの手の映画は楽しめない。世界観にどっぷり嵌まる快感が、そんなものどうでもいいと思わせてくれる。久し振りに「映画に酔う」という楽しみを体感した。


それにしても、開場前、狭い劇場の入り口前に整理券を手に集まった、熱心なジョニー・トー信者であろう男達の殺伐感が半端無くてびっくりした。流石だなあ。