Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 ももいろクローバーZ「ももいろクリスマス2011 さいたまスーパーアリーナ大会」@さいたまスーパーアリーナ

http://natalie.mu/music/news/61828


さいたまスーパーアリーナには何故かこれまで縁が無く、初めて観る会場に巨大建築愛好心をそそられて呑気に写真を撮りまくっていたら、会場限定CDは売り切れてしまった。




さらに、開場時間になっても一向に入場列が進まない。機材トラブルで結局開場は一時間押し。徐々に日は暮れてゆき、真っ暗になった会場の周りには、一万人のファンがクリスマスの夜の寒さに震えながら、ひたすらその時を待った。


会場で話をした高城れにファンの手作りヘッドアクセ



冷え切って棒のようになった体で座席についたころには、既にショーは始まってしまっていた。そう、これはコンサートというより、一大エンターテインメントショーだった。そもそもライブタイトルが「さいたまスーパーアリーナ大会」となっているように、ライブ全編が格闘技公演の実況中継を模した形で行われた。客席の中には実況席が設けられ、格闘技の実況アナウンサー矢野武アナ、マネージャー川上、解説者に山里亮太バナナマン。彼らがライブ中も逐一スクリーンに映され、メンバーの調子や状況などを解説。メンバー紹介や、全ての曲の頭には、PRIDEの選手紹介などでお馴染みのレニー・ハートによる、ど派手なコールが被せられる。(たとえそれがバラードであっても。) 試合前や着替え時間、さらにはアンコール前まで、レポーターが楽屋からメンバーの体調などを中継するなど、プロレスネタを定番としてきたももクロが、それをライブ全体にまで広げた大掛かりな格闘技中継的ライブ構成になっていた。面倒臭いしやり過ぎではないかと思ったが、案外これが飽きない。コアな格闘技ファンでなくても、それ風な空気を楽しめただろう。終わってみれば、トータルで三時間半という長丁場であったが、全くそれを長く感じることが無かった。一時間も震えながら待たされた辛さは、終電ギリギリの電車の中で思い出した位だ。


構成は凝りに凝っており、何度も入るムービー付きのサプライズ演出、何度もの花火や、吹き上げる火柱、巨大風船、雪、テープ打ち上げといった特効、新曲には100人のコーラス隊とマーティ・フリードマンをゲストに壮大な演出。「れにちゃんのちょっといいとこ」では結構な時間をかけて手品ショーまで。スクリーンも巨大で、会場の距離を感じさせない派手目で煽りやすいCGによる映像と、ももクロメンバーを追うカメラの使い分けが絶妙。とにかく構成と演出に金をかけまくった派手なショーだった、というのが印象的だった。このクラスの会場で自分が観るようなもの、つまりPerfumeが、どれだけストイックなライブなのかを(金銭的な面も含めて)改めて知ることになった。


ももクロメンバーのパフォーマンスは、いくらアリーナモードで200レベルまで、つまり1万人程のサイズで行われたとはいえ、さすがに自席の会場後方から見るととても遠いが、巨大スクリーンのおかげでそんなに距離感は感じない。惜しみない剥き出しの元気のパワーはこの巨大な会場でも健在だった。あれだけの運動量で、敢えてヴォーカル被せを排除する姿勢も面白い。音が外れまくってもいい、有安だけ歌えていればいい。他のメンバーは一生懸命さを表現できればそれで十分なのだという、それで許してしまう勢いが今のももクロにはある。


ももクロの現場で凄いのはオタ(「モノノフ」)の統制。ほぼ全員が推しメンバーのペンライトを持ち、広大な客席は最初から最後まで、隅から隅までカラフルな光の海。そして、どの曲に対しても、かっちりと揃ったコールと口上、ペンライト振りをするのだ。一万人のペンライトが規則正しく動く様は圧倒的だ。しかし、自分も赤いペンライトを準備していったものの、振るタイミングがさっぱりわからず、そもそも腰で踊りたいのに、手でペンライトを振っていては踊れない。「極楽門」の時も書いたが、盆踊りやパラパラに見られるように、手を振って踊るのが典型的な日本人のダンスであって、オタ芸やペンライト振りもその流れなのだろうが、ダンスミュージックリスナーにとっては、ダンスは腰で踊るものなので、このノリには上手く順応できないのだ。早々にペンライトを振ることを放棄し、自分は好きに踊らせてもらった。


そして踊った結果分かったことだが、やはり、自分(とその連れ)はダンスミュージックリスナーなので、さいたまスーパーアリーナのような巨大な会場の、ろくに低音も出ない音響では全く満足できず、かえって虚しい思いをしてしまうということだった。Perfumeの東京ドーム公演で抱いた疎外感と全く同じ、音響的につまらないので楽しめない、という状況になってしまった。もちろん、公演全体はとても楽しく、三時間半全く飽きなかった。ももクロのメンバーから無償の愛を受け取った。そういう意味で素晴らしいショーであったのだが、音楽のライブ公演としては酷いものだった。新曲、それもマーティ・フリードマンと100人のコーラス隊まで使って披露した「無限の愛」は、壮大なシンフォニックメタルプログレであり、マーティの速弾きも映える圧倒的なスケール感で、この曲と、そのまま続けてマーティーがギターを弾いた「怪盗少女」がこの公演のピークであったが、あまりに音が悪すぎて、全体像を聴きとる事すら難しかった。「ブレイクしてしまったから自分が推す必要はない」と言ってファンを離脱し再び地下に潜るアイドルオタは多いが、それとは別のベクトルで、ももクロもつい最近までZEPPやAXといったレベルでの音響を聴かせてくれていただけに、「肥大した会場の音響ではつまらないから」という理由で、少なくとも在宅ファンになるという道もあるのだな、という事を連れと二人で話し合った。それはとても寂しい事だけれども。



  1. PRIDEテーマ(メンバー紹介)
  2. overture
  3. CONTRADICTION
  4. BIONIC CHERRY
  5. 労働讃歌
  6. Believe (玉置成実カバー)
  7. 天手力男
  8. 全力少女
  9. きみゆき
  10. ピンキージョーンズ
    • グレートクローバーZ
  11. キミとセカイ
  12. ワニとシャンプー
  13. Z伝説 〜終わりなき革命〜
  14. D'の純情
  15. キミノアト
  16. words of the mind(moveカバー)
  17. Chai Maxx
  18. サンタさん
  19. ココ☆ナツ
  20. スターダストセレナーデ
  21. 白い風
  22. ミライボウル
  23. ツヨクツヨク(mihimaru GTカバー)
  24. オレンジノート
  25. ももクロのニッポン万歳!
  26. コノウタ
    • EN
  27. 猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」 (ギター:マーティ・フリードマン、合唱:東響コーラス)
  28. マーティ・フリードマン ギターソロ
  29. 行くぜっ!怪盗少女 (ギター:マーティ・フリードマン
  30. あの空へ向かって