なんか久し振りにまとめている気がする。
ナタリー - [Power Push] Perfume みんなで一緒に世界に行こうよ!
http://natalie.mu/music/pp/perfume02
−これから海外進出していく上で、ぜひ世界中の多くの人に観てもらいたいクオリティのライブだなと感じました。Perfumeの曲はライブパフォーマンスも含めて完成するものだと思いますし。
あ:いやー、うれしい(笑)。日本の人からそう思ってもらえるのは自信になります。そのためにユニバーサルさんに移籍してこれから一緒にやっていくことを決めたので。2011年にショッキングなことが起こってから、今の日本は絆とか、信じること、思いやる気持ち、あきらめない心、そういったもので一致団結していて、それがほかのアーティストの皆さんが作る音楽にも表れてると思うんです。そんな力強い日本の今の音楽シーンを、私たちを通して海外の人にも知ってもらって好きになってほしい。日本をもっと好きになってほしいっていう気持ちがあって。
−いいですね。
あ:だから海外でも、今やっているライブパフォーマンスのスタイルはそのまま続けようと思ってます。中田(ヤスタカ)さんが作ってくださる曲を歌って、MIKIKO先生に振り付けをしていただいて、体制を全く変えないでいくつもりなので。だから今までどおり何も変わらず、日本での活動を一番に、日本のファンの皆さんのことをなにより一番に考えてます。ぜひみんなで一緒に世界へ行こうよ!っていう気持ちです。
レコード会社移籍および海外進出に関するPerfumeメンバーの考える方向性やモチベーションは、Perfumeという「個の存在」ではなく、震災を切っ掛けとした「日本という存在」総体をベースとしたものとなっている。それが、「JPN」というタイトルであり、「力強い日本の今の音楽シーンを、私たちを通して海外の人にも知ってもらって好きになってほしい。日本をもっと好きになってほしい」という言葉に象徴されている。つまり、「Perfumeが海外進出」が目的なのではなく、彼女達が先兵となることを「手段」として、最終的に「今の日本の音楽シーンに海外からの注目を集める」ことが遠望としておかれている。
この事例を考えた時、Amuseが積極的に提携を進めている韓国の音楽とドラマの展開戦略が想起される。K-POPの積極的な日本や東南アジアへの進出、そして欧米フィールドへの挑戦は、韓国の音楽市場が崩壊していることだけでなく、内需がゼロに近い危機的な経済状況打破と、国家イメージの向上を狙って、韓国政府自らが旗振り役となり、政府機関「韓国コンテンツ振興院」が輸出可能なソフトコンテンツの振興に多額の投資を行っていることを背景にしている。つまり、少女時代や東方神起、あるいはドラマが海外進出すること自体が目的なのではなく、それはあくまで手段であり、韓国全体のイメージと経済を向上させることが彼らに課された命題になっているのだ。K-POPの海外活動は、その総事業費の実に50%までを政府が支援する。*1 国家政策による強烈な金銭的後押しと、不況によりコンテンツ制作に投資ができない日本メディアの都合が合致し、K-POPの日本上陸は完全に日本のメディアを埋め尽くした形から始まり、その後日本での人気が形成されていった。
日本の音楽シーンを自ら背負って海外を睨むPerfumeには、もちろん韓国のように政府機関による後押しなどないし、政府政策としての日本の文化的地位の向上が課せられているわけでもない。海外のテレビ番組を埋め尽くすようなメディア攻勢も仕掛けられない。音楽と、ライブパフォーマンスのクオリティー、そして海外向け公式サイトで行われている幾つかの試み、それらの評価を信じ、そのままの形で同じものを、現状では配信といった手段で提供するのみである。ユニバーサル執行役員は、「アジア圏での小規模ショーケースツアー」を構想に挙げていたが、そこで、ただ、パフォーマンスの力だけで、どれだけの人を振り向かせられることができるのだろうか。不安でもあり、楽しみでもある。
−最近のK-POPユニットの場合、日本デビューするときには日本語バージョンを新たに作ったりしますよね。
か:歌詞の良さって、語感とか音の響き、韻を踏む面白さとかがありますよね。私たちの曲の場合は日本語で歌うことを前提に作られてて、それがすごくいい状態になってると思うんです。例えば、日本語で女の子が歌うとかわいく聴こえる語尾になってたり。だから英語に変えるとその微妙な良さが全部消えちゃうんじゃないかなって気がしてて。今のところは、既にある曲を英語詞とか違う言葉に変えようっていう話は出てきてないですね。英語のための曲を新しく作るっていうのはありかもしれないですけど、私たちはそんなにしゃべれるわけでもないし(笑)。
中田ヤスタカの意味よりも語感と音への乗りを重視した言葉選び。そういう部分が英訳されて残るとは到底思えない。K-POPは基本的に日本でリリースする曲はわざわざファン層に合わせてまるで別内容の日本語で歌い直すが、原曲のコールをそのまま残したり、ここら辺のニュアンスまで含めて翻訳するのには相当の苦労が見える。
−では例えば、海外で共演してみたい人はいますか?
の:いやあ……。
か:ピンとこないね(笑)。
あ:中田さんと一緒にやるのとかいいね。
か:あー、中田さんも海外行かないもんねえ。
あ:そうそう! 私たちが海外に行くっていうことは、中田さんの音楽が海外に行くっていうことなんですよ。私たち自身も中田さんの大ファンだから、中田さんの音楽をもっとたくさんの人に聴いてほしいっていう気持ちがあって。ぜひ中田さんにも一緒に行ってもらいたいね。で、ヘラヘラしててほしいね。
か:しっかり見守っててもらうんじゃないんだ(笑)。
あ:一緒に楽しんでほしい。「んへあー」ってしててほしい(笑)。
か:具体的に共演したい人は思い浮かばないけど、誰かと対バンっていうよりは、海外のフェスに出てみたいです。いろんなジャンルのお客さんがいて、しかもPerfumeを知らない人もたくさんいる中に出ていったときに、どういう反応されるのかなって。もちろんPerfumeのことを知ってライブに来てくれるのもうれしいけど、初めましての人たちがどういうリアクションを取るのかなっていうのに興味があります。メチャメチャ怖いですけど(笑)。
独自のスタイルを築きあげてしまったPerfumeにとって、日本ですらフェスの中でもその存在は異物感がある。海外での共演者となると、さらにピンとこない。同行するなら、ヤスタカときゃりーぱみゅぱみゅあたりが妥当なのかもしれない。
まあテクノ好きの妄想を挙げてみるとすれば、ハードミニマルテクノシーンに多大な影響を与えたSURGEONことAnthony Childは、熱心なPerfumeファンであり、東京ドーム公演を観る為にイギリスから来日、ついでにdommuneにも出演。*2 彼と回るヨーロッパツアーでもやったらそれは面白いだろうなあと思ったりもする。まあ妄想ですが。
Perfume『全国ツアーの真っ最中!メンバーが考える“弾けるような恋”とは!?』-ORICON STYLE ミュージック
http://www.oricon.co.jp/music/interview/2012/perfume0411/index.html
−皆さんの歌い方も感情が前に出ていますよね。
か:前よりもエフェクトが減ってきたところもあるし、エフェクトの種類も変わってきたから、生歌に近い声になってきているっていうのは自分たちでも感じています。
の:この曲は歌っていて気持ちよく、音程もちょうどいいんですよ。ツアー中のレコーディングだったので声もすごく出ているし、楽しいな〜と思いながら生き生きしてレコーディングしていましたね。
か:私は少し明るく歌うように心がけました。
−“少し”っていうところが重要なんですね?
か:あんまり明るい気持ちでにこやかに歌うと、声が幼くなりすぎるんですよ。だから今、そこを研究中です(笑)。
あ:私はレコーディングの順番がいつも1番なんです。あまり歌い込んでしまうと熱く感情がのってしまうので、私は覚えてすぐにレコーディングに入っています。
西脇さんは感情を乗せないように、樫野さんは幼くなり過ぎないように。
YMOの声は三人重ね合わせても結局倍音の多い幸宏がその芯となるのと同様、Perfumeのサウンドは、西脇さんの柔らかスイート、大本さんのアタックの強いストレートの上に、樫野さんの倍音の多いプラスティックな声が乗って、初めてそのエレクトニックなサウンドと親和性の高く、そして清涼感溢れる声が完成する。
Perfume(パフューム) - みんなで世界に行きたいです! - exciteインタビュー
http://www.excite.co.jp/music/close_up/interview/1204_perfume/
−2012年第1弾シングルということで、中田ヤスタカさんに“こんな感じの曲がいいです”みたいなお話はされたんですか?
の:や、まったく。
か:何にもなかったです。
あ:中田さんの書いてくれる音楽だったら絶対良いと信じているんです。レコーディングのときは“どんな曲だろう?”って、いつもワクワクさせてもらってます。今回もサビの符割りとか天才だと思うんですよね。
移籍と世界進出というタイミングにおいても、全幅の信頼を置いているヤスタカへの楽曲注文は無かった。結局、Perfumeからヤスタカへの楽曲の「注文」は、東京ドーム公演決定の報告をした「VOICE」前のミーティング、あれ一度きりだったのだろう。*3
−ミュージック・ビデオはどんな内容ですか?
の:「氷結」のCMと同じ、田中裕介監督(サカナクション「バッハの旋律を夜に聴いたせいです。」etc.)にお願いしました。CMのイメージを一度全部取っ払って、この曲だけと向き合ったらどういうミュージック・ビデオになるだろうっていう挑戦で。
あ:うちらは楽しいけど、監督さん大変よね?
の:た〜いへん! 研究所を舞台に、背中にプラグのついた衣装を着て撮影したんですけど、撮影終了まで27時間かかりました。世間ではPerfume=アンドロイドっぽいイメージってあると思うんですけど、実際そういう映像は撮ったことなかったんですよね。
か:歌い方は感情を込めないけど、ダンスには歌詞の意味を汲んであるところでバランスをとって“人間だけど人間じゃない”みたいな印象があると思うんです。それで監督が絵コンテとストーリーを考えてきてくれたんですけど、実際にアンドロイドっぽいことをそんまんまやってみるっていうのも新しいねって。
−アンドロイドに扮してみた感想は?
の:すごく楽しかったです。3人とも人形っぽい動きを演じるのが大好きなので。
あ:間奏の後、つながれたままアンドロイドが動き出すところとか超楽しかったよね? あそこだけスムーズにいきすぎて2回ぐらいでハイ、OKみたいな(笑)。3人で“こうやったらもっとアンドロイドっぽくなるんじゃないか”とか言いながら研究してたんですけど、やっぱりうちらに合ってますね。のっちなんて目を見開きすぎて落っこっちゃうかと思っちゃった(笑)。
の:あはははは!
か:ストーリー仕立てになっていて結構切ない物語なので、最後は観どころです。
の:観てほしいなぁ。
男の理想として、「女の子×SF」は永遠のテーゼ。
このインタビューで重要なのは、大本さんの「切ない」という言葉。このPVにおいてあのラストシーンをどう解釈するかは重要な所だろうが、この一言で、ある程度「制作側の解釈」は明確になったのではないだろうか。
Perfume - ありのままで世界へ! - Yahoo!ミュージック
http://smash.music.yahoo.co.jp/top/powyjm00501/
−カップリングには、ユニークなリズムのポップソング『コミュニケーション』が収録されてますね。
あ:いままでにない感じのリズムですね。
か:中田さんは「意味わかんない歌詞を書いてみた」って言ってたので(笑)、意味わかんない曲でいいと思います。意味を考えないで、口ずさむ歌でいいと思います(笑)。
−(笑)これもラブソングですよね。
の:そうですね。相手のことしか考えてないっていう、甘酸っぱい思い。両方、恋の歌だと思います。
か:私がこの曲で感じたのは、実際にコミュニケーションをとらなくても、ひとりで相手のことを思ってる時間もコミュニケーションに入るんだなってことですね。直接、話をしたり、触れたりしなくても、相手のことを考えたり、だれかを思うっていうことも、コミュニケーションのひとつなのかなって。
「ひとりで相手のことを思ってる時間もコミュニケーション」、樫野さんの言葉が深い。