Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 東京女子流 初ホールライブ「CONCERT*01『Limited addiction』」夜公演@天王洲銀河劇場


所謂「アイドル戦国時代」において、「楽曲派」を最も楽しませてくれるユニット、東京女子流。彼女達が初めてのホールライブに挑戦するという事で、普段Ustreamで見る事の出来る定期イベントとは違った何か面白い事をしてくれるのではと思い、一年四か月ぶりに東京女子流の現場へ足を運んでみた。


会場は天王洲の銀河劇場という、この手のイベントではあまりお目にかからない場所。音楽系というよりも、演劇に使われる箱。キャパ746席、オペラハウスのような馬蹄形吹き抜け三層構造で、二階席、三階席の奥行きはたった三列しかない。最後列でも舞台から20メートルの近さで非常に観やすいつくりだが、自分の席は1F6列目と良好。豪華な造りの赤じゅうたんの階段を上って会場へ。


アルバムのイントロの四つ打ちキックから始まり、5人がステージへ。一斉に観客が立ち上がり、興奮のスタート。しかし、演劇用の箱だからなのか、低音がスカスカ。AVEXが大衆ウケにはまだ早すぎるとリリースを1年も遅らせた本気の楽曲「鼓動の秘密」も、先日亡くなった柳ジョージのブルースを最高の形で現代に甦らせた「Limited addiction」も、折角の現場なのに、そのグルーヴを100%引き出せていない状況。


しかし、毎週のように地道なライブで経験を積み上げてきたミドルティーンの少女達にとっての一年半、その成長は恐ろしいほどだった。全員が安定したダンスを魅せながら、その上で全く音も外さず息切れもせず、本気の生歌を聴かせてくる。かつて見た時はあまりに不安定な歌声で、これなら被せでもいいやなどと思っていたのが嘘のよう。この日は一日昼と夜の二公演で、自分が観たのは夜公演だったが、それでも公演最後まで歌声が不安定になることは殆ど無かった。AVEXにありながら、所謂ディーヴァ唱法などのいやらしい癖も付けられておらず、素直で伸びやかで心地よい声を聴かせてくる。正直アイドルの楽曲に歌唱力など求めていないし、パフォーマンス全体として魅せてくれれば、Perfumeのようなスタイルの方が寧ろ好ましいと思っているのだが、小西彩乃の落ち着いた声の説得力と、アイドル声の新井ひとみの掛け合いを中心とした歌声には、自分の考え方すら変えてしまうほどの迫力があった。


初期の愛らしい楽曲から、最近の過剰に大人びた曲まで、全く目が離せないほどにいいパフォーマンスでライブは進行していく。「Don't Be Crue」のソロダンスや、ZONEのカバー曲「僕の手紙」の強烈なファンクの効いたトラック。かつてない複雑なメロディとアレンジを持つ新曲「Liar」は、過激なコンセプトのPV通りに、メンバー同士のキスシーンやスカート剥ぎ取りまで再現して観客を沸かせていたが、ふわふわのシフォンスカートを剥ぎ取った後の白のホットパンツ姿の方が随分子供じみていて、質の高さで評価されている東京女子流には、こういう過激な演出はいらないんじゃないかと思った。


初のホールライブなのだが、ステージには何も置かれず、バックも無地紺の中幕だけ、演劇場臭いセンスの無い照明が幕に当たるたびに、折角の舞台が勿体無いと思っていたが、ライブの中盤、突如その中幕が開く。そこにいたのはなんとバンドセット。Perfumeにバンドセットがついたらがっかりだが、AVEX仕込みのファンクネスを生で聴けるとは。会場も皆期待の声を上げる。それもそのはず、キーボードには東京女子流の楽曲編曲を手掛ける名プロデューサー、「Royal Mirrorball」こと松井寛。ハロオタなら、モーニング娘。笑顔YESヌード」と音楽ガッタス鳴り始めた恋のBELL」の2曲での、細やかでかつ太いディスコアレンジを聴いたことがあるだろう。ギターはマライアの土方隆行、ベース湯浅崇、ドラム鈴木邦明、マニピュレーター望月成浩。この超ベテラン勢を従えて、1stアルバムで最もハードグルーヴな「Attack Hyper Beat Pop」で後半スタート。なんという迫力。渦巻く太いグルーヴ。前半のスカスカ音響が嘘のよう。「ヒマワリと星屑」のカッティングギターに悲鳴のような声援が上がる。ファンクネスで飛ばしっぱなしの後半戦、アンコールにはもう一度「Limited addiction」、それもバンドセットでRoyal Mirrorball Mix。楽曲派でなくともこの迫力には腰も震える。これでホーンセクションまで生で付いてきたらえらいことだ。


初のホールライブという事で、ボロボロになってきた「ひまわり」アクセも新調。「孤独の果て」ではハロウィンのアイテムをそれぞれ身に着け、多少の可愛らしさアピールも忘れず。本編最後のMCでは、初のホールライブでの経験を生かし、もっと大きく成長したいと話すが、庄司芽生が「東京ドームを目指したい」といきなりぶち上げ観客も動揺しつつも大きな拍手。バンドメンバー紹介では、バンドメンバーを労いたいという流れで「今晩お泊り会しましょうか?」と中江友梨が無邪気に言い出し、慌てるバンドメンバーと観客。


アンコール、「おんなじキモチ」では、ステージ上にAVEXプロワークスダンサーズの幼女と熟女がわらわらと出てきて、例の振り付けをみんなで踊ろう、という展開に。もちろん客席の女の子もおっさんもみんなで踊るが、肝心の庄司芽生ソロがダンサーに隠れて見えない。自分の席も下手だったので、一度上手側でずば抜けてダンスの巧い庄司芽生の動きを観てみたくなった。


ラストは、原曲よりもBPMを落としてさらにスウィートで切ない、奇跡的なまでに素晴らしいアイドルソウル/ディスコチューン「キラリ☆ (Royal Mirrorball Mix)」で締め。ピースフル。




派手な舞台演出は一切なく、純粋に歌とサウンドだけで魅せきった初ホールライブ。「アイドル戦国時代」の中では売り上げこそ随分と低いものの、AVEXにいながら、湯水宣伝作戦を取らず、純粋に楽曲のクオリティと、メンバーの成長だけで正当な評価を得ようとしている、その意図。AVEX社内でも恐らく難しい位置にあるプロジェクトなのだろう。このまま派手に過激に消費戦略を取ることなく、それでいてしっかりとしたファンの付く、いいユニットに育って行ってほしい。




@nisegaku アイドルのライブに生バンドをつけて、それがきっかけでアイドルとバンドメンバーがつきあったりしたら嫌なので、バンドのメンバーは全員、今日の女子流のライブでキーボードを弾いてたおじさんみたいに女犯坊みたいなビジュアルで揃えることを望む。 link
@bluetone_ その人が松井寛。。 RT @nisegaku: アイドルのライブに生バンドをつけて、それがきっかけでアイドルとバンドメンバーがつきあったりしたら嫌なので、バンドのメンバーは全員、今日の女子流のライブでキーボードを弾いてたおじさんみたいに女犯坊みたいなビジュアルで揃えることを望む。 link
@royalmirrorball
松井 寛
昨日のライブのうれしい感想、沢山頂きましたw ありがとうございますm(__)m ただ、以前も書きましたが、僕に音楽以外の『何か』〜細身でイケメン風な容姿とか〜ステージ上で面白い事を言う〜等を期待するのは、間違ってますので...(笑) link



  1. Intro 〜 鼓動の秘密
  2. Limited addiction
    • MC
  3. W.M.A.D (Wendy Moiragh Angela Darling)
  4. We Will Win!
  5. 頑張って いつだって 信じてる
  6. Don't Be Cruel
  7. きっと忘れない、、、
    • MC
  8. Liar
    • MC
  9. Love Like Candy Floss (TGS Ver.)
    • MC
  10. 僕の手紙
  11. サヨナラ、ありがとう。
    • バンド登場
  12. Attack Hyper Beat Pop
  13. 孤独の果て
    • MC
  14. ヒマワリと星屑
    • MC
  15. ゆうやけハナビ
    • EN
  16. Limited addiction (Unlimited addiction Mirrorball Royal Mix)
    • MC
  17. おんなじキモチ (with AVEXプロワークスダンサーズ)
    • MC バンド紹介/退場
  18. キラリ☆ (Royal Mirrorball Mix)







Liar / W.M.A.D【ジャケットD】

Liar / W.M.A.D【ジャケットD】

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