観覧記録 Especia 東京初ワンマン「Vamos a Especia」＠新高円寺CLUB LINER

20130224 Especia「Vamos a Especia」＠新高円寺 CLUB LINER

デビューして半年ちょっと、遂に大阪堀江のバブリーディスコファンクアイドルことEspeciaが東京ワンマンライブを敢行。ロックな匂いのする小箱にキャパ一杯の150以上を詰め込んでかなりの密集度。中央にいてもいい音が鳴りそうにないので、折角だからとスピーカー近くに陣取る。

「写真／動画取り放題、可愛く撮れていればSNSに上げて宣伝して」という異例のアナウンスの後、彼女達のコンセプトを象徴する様な、景気が良かった頃のバブリーダンスチューン、荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー」が流れ、メンバーがステージに登場。東京初ワンマンに緊張した観客の空気が一気に享楽的な馬鹿騒ぎモードへ移行する。

まともに歌うよりも最前の大阪遠征組とハイタッチをして大はしゃぎ。いいよいいよー。勿論この子たちはバブルなんて知らない世代、生まれた時からずっと不況の世代だ。だから、自分の様な就職氷河期世代のように、バブルで浮かれた大人達を冷めた目で見つめる必要も無い。もっとシリアスな世の中を生き抜いてきた彼女達が、「私をバブルに連れてって」と馬鹿騒ぎしながら歌うこの倒錯感。

3〜5曲目は、新宿タワレコイベント時と同様に生アルトサックス中川氏とギター佐久間氏が参加。クールなカッティングとワウ使いでグルーヴを増すギターに、派手にソロで鳴きまくる艶めいたサックス。どうせならサポートの二人とも、でかい肩パットの入った気味の悪い紫色のDCブランドスーツでキメてほしかった。

サポートの二人を紹介した後、折角のかっこいいゲストだし、ということで、何故か観客もEspeciaメンバーも床に座り込み、ギターとサックスのジャムセッションを楽しむという珍しい流れに。

次のMCでは、絵莉加が突然Especia脱退を発表。あまりの急展開に戸惑うが、青褪めるメンバーもいれば、笑っているメンバーもいる。そして、そのままEspecia新加入メンバー「森絵莉加」発表。要は一人だけ名字無しの芸名だったものに名字を付けるというだけではあったが、この下らない茶番も、胡散臭いバブル演出だと思えば上手くはまっているようにすら見える。

後半はBPM遅めでゆったり躍らせる選曲。スネアのずらし具合がファンクネス。しかしこの辺りから会場にロック箱を選んだデメリットが前面に。ロックバンドに最適化されたこの箱では、この手のディスコミュージックをまともに鳴らすことは難しい。箱PAにもそのノウハウが無い。低音が鳴らず、中音域が大きすぎ、さらにメンバー6人のコーラスはそれぞれを聴かせようとしているのか高音域が耳に痛くなるほど響く。しっとり艶のあるミディアムフュージョン／ファンクナンバーに適したミックスとは程遠い。まだ東京初ワンマンの彼女達だが、是非次の機会には、ディスコサウンドを理解して鳴らしてくれる箱をお願いしたい。夜はヒップホップ箱である渋谷Glad辺りが、良い感じにEspeciaの仮想的ゴージャスバブリーなディスコサウンドを理解して鳴らしてくれると思う。キャパ的にもいいんじゃなかろうか。

アンコールでラップナンバー「Good Times」。ナンブヒトシは現れなかったが、メンバーが柵に上ったり無茶をして大騒ぎ。

最後に、脇田もなりによる「ブラックミュージックが沢山入っています」という初のアルバム告知。ざっくりした紹介だが、会場は勝手に想像を膨らませて期待値を上げまくっている。5月には梅田クアトロでフルバンドを従えてワンマンライブを予定とのこと。聴いてみたいなあ。パフォーマンス全体でいえば少しずつ上達はしているようだが、まだまだこの独特なサウンドメイクありきのユニット。MCもどうしようもないほどグダグダだったけれど、そう言うところも含めて享楽的な味とみるか否か。後はとにかく、ディスコサウンドをまともに鳴らせる箱でのライブを是非。