日本で最初に始まった巨大屋内テクノ祭りももう15周年。15年て。「YMOブームからソニーテクノまで」の15年間と同じ時間が経ってしまったよ。そりゃ俺もEDMが気に入らないわけだ。1993年のYMO再生前後にリリースされた当時のレイヴ/ブリープテクノシーンの第一線の面子を集めたリミックス盤は、ことごとくYMOをリアルタイムで見てきたYMO大好きおじさん達にぼろくそに言われていたもの。15年も経てば、自分もそれと何ら変わらない老害なのだろう。
1995年に日本初の大規模野外レイヴ「Natural High!! '95」が開催されて、翌年には富士山麓で日本初の大規模野外オールナイトレイヴ「Rainbow2000」。欧州のレイヴ文化を指を咥えて眺めていた自分には夢の様なイベントだった。この頃からようやく日本に「レゲエ」以外の野外フェス文化が定着し、そして97年に初回フジロック台風直撃伝説。WIREは少し遅れて1999年から始まった。しかし15年間ひたすらテクノ/テクノのルーツとしてのニューウェーヴだけに音楽性を絞りつづけ、エレクトロにもテクノポップにもEDMにも一切見向きもしなかったイベント、よくこんなものが続いたものだ。もう初回からWIREに来ている世代もまともな人達は家庭を持って落ち着いてしまい、こんなテクノ祭りに来るようなアラフォーの踊る阿呆も流石に減ってきた感がある。15周年記念という事でラインナップも若干懐かしめだったりと後ろ向きではあるものの、来年もまたこの地に足を付けたまま走る様なスタンスで唯一無二のテクノフェスとして続いてほしい。
15年間の間に音響技術も大幅に進歩した。最初の頃はメインフロアにディレイスピーカーが何本も聳え立っていたが、今はそんなものは必要なく、フロントスピーカーだけで後ろまで聴かせ、尚且つ一晩爆音を聴いても全く疲れない素晴らしい鳴り。ここ数年のWIREでも明らかに鳴りが違った。これだけの箱で大したものだ。今年は照明も美しかった。大量にレーザーを飛ばすいつもの感じに加えて、要所要所で抒情的な姿を見せてくれた。レーザーの描く星空の中で踊る朝。
夕方から朝方にかけて台風の影響で都内全域に気象警報。しかしここで中止にならない屋内フェスの快適さよ。基本的にWIREはドイツ祭りで、今年はフードエリアにオクトーバーフェストと提携してDEUTSCH BIER HALLEが登場。下戸なのにドイツビールとカリカリに焼かれたカリーヴルストをザワークラウトと共に頂く。めちゃめちゃ旨かった。
DJ SODEYAMA (東京)
休日出勤、勤務先から会場へ向かう。
AGORIA (Lyon)
メインフロアはまだ随分閑散としており、プレイも渋め。
TAKAAKI ITOH (宮城)
彼がセカンドフロアのオープニングとなったため、珍しく19時という早い時間に会場入り。最初からセカンドはいつものようにサウナ状態。ダークなハードさと繊細さが両立するこの色男。
JB3 - Forklift (Luke Slater Filtered Mix)
Recondite - Cleric
RYUKYUDISKO (沖縄)
MIJK VAN DIJK (Berlin)
ずっと「AKIRA」で止まっていた海外における日本文化を、ゲームやアニメ、同人誌、そしてソニック・ザ・ヘッジホッグ経由で海外のダンスカルチャーに直結させ、電気グルーヴとドイツの繋がりを作った功労者で、ゲーマーには「リッジレーサー」の人と記憶されているだろう彼も、15周年という事で初回1999年以来の2度目。懐メロにも程があるオールドスクールジャーマンレイヴ。かつてジャーマントランスと呼ばれていた、LOVE PARADEの音の象徴のようなもので、ポジティヴなエネルギーに溢れていた、と当時は思っていたけれど、流石に今の音に合わせようとするとこうするしかないのか、地味化したサウンドにはもはや元気が無い。PCを離れて歌ったり踊ったり煽ったりと本人のテンションだけは高かった。
Microglobe - All Our Colours
mijk van dijk / Gamer's Night
A.MOCHI (東京)
あらゆるものがそぎ落とされ、重たくもソリッドなキックだけが主張する空間。1994年の「Red 2」、まさにここからフロアの音が完全に変わったターニングポイント。この一曲でアシッドとトランスの時代が終わり、ハードミニマルテクノ一色になった。
Dave Clarke - Wisdom To The Wise Red 2 (A. Mochi Re-Edit)
Len Faki - Death by House (A. Mochi Remix)
Spektre and Subfractal - Ram Raid (Original Mix)
A. Mochi - Black Reigns
KEN ISHII (東京)
BART SKILS (Amsterdam)
WESTBAM (Berlin)
ベルリンの大将感。大箱しか似合わない。
Mercer - Supreme (Original Mix)
Quintino & Blasterjaxx - Puzzle (Original Mix)
GIORGIO MORODER feat. CHRIS COX (Los Angeles)
ミュンヘンディスコの神様ジョルジオ翁が遂にWIREに登場。今年5月に74歳になって遂に初来日を果たすも、会場はビルボードライブ東京、観客も踊るような客層では無かったため、ディスコとシンセミュージックを融合させたテクノのルーツとしてWIREに呼びたいと駄目元で声をかけてみたらまた直ぐに来日してくれたという。
客層的にソロ曲やMunich Machineを期待していったのだけれど、昨年亡くなったドナサマーに捧げる「Love to Love You Baby」「HotStuff」「I feel love」は勿論、80s超メガヒットの「ネヴァーエンディングストーリー」「フラッシュダンス」「トップガン」のつるべ打ちでアラフォー涙目、MCで半生を語りつつ、そのままDaft Punk「Giorgio By Moroder」へ流れるという大サービス。持ち曲が片っ端からメガヒットだらけで一曲一曲の頭に一々笑いながらの大ディスコ大会。
- Giorgio Moroder - From Here To Eternity
- Giorgio Moroder - Utopia
- MC
- Donna Summer - Love to Love You Baby
- Limahl - Never Ending Story
- Giorgio Moroder - E=MC2
- Phil Oakley and Giorgio Moroder - Together in Electric Dreams
- Irene Cara - What A Feeling
- Berlin - Take My Breath Away
- Giorgio Moroder - The Chase
- Donna Summer - I feel love
- MC
- Daft Punk - Giorgio By Moroder
- Blondie - Call me
Giorgio Moroder - From Here To Eternity
Limahl - Never Ending Story
Irene Cara - What A Feeling
Berlin - Take My Breath Away
Donna Summer - Hot Stuff
Blondie - Call me
WIREガールも髭&メガネ。
PHILIPP GORBACHEV (Berlin)
HELL (Munich)
SLAM (Glasgow)
Somaの首領がまだ現役だったことに驚く。Stacey PullenのKosmic Messenger名義のようにパーカッシブなデトロイトサウンド、909スネア連打で上がる。こういうサウンドが既にオールドスクールなんだろうなあ、切ないなあ。
MATIAS AGUAYO (Berlin)
今年もセカンドフロアの熱気と湿度が似合う謎の南米枠。サンティアゴからストレンジサウンドをベルリン経由で。Aphex Twin「Donkey Rhubarb」の様なすっとぼけたニューウェーヴディスコと808サンバに、同じくすっとぼけたグルーヴィーボーカルが怪音を歌う。今回のベストアクト。
Matias Aguayo - Levantate Diegors
Matias Aguayo - I Don't Smoke
2000 AND ONE (Amsterdam)
エレガントに跳ねるテックハウス。あーやっぱテクノ気持ちいい。セカンドフロア気持ちいい。
Josh Butler - Got A Feeling (Bontan Remix, Pleasurekraft Edit)
Cirez D - On Off (Original Mix)
LEN FAKI (Berlin)
BEROSHIMA (Berlin)
JOSH WINK (Philadelphia)
いや幾らなんでもJosh Wink's Size 9「I'm Ready」はやらないだろう。今はCocoonの人だもの。メインフロアにしては相当地味でトランシーな時間が続く。しかし残り20分、突然のOutlander「Vamp」。そして「Jeff MillsThe Bells」からアホみたいなクラシック連発そして締めに「Higher State of Consciousnes」。完全にネタ。これが15周年。
Diego Mystick & Zambrano - Provocative (Original mix)
Outlander - Vamp
Josh Wink - Higher State of Consciousnes
PACHANGA BOYS (Xalapa)
SVEN VÄTH (Frankfurt)
メインフロアのトリ。彼もWIRE 00以来の2回目。HarthouseやEye QでBarbarellaだよ。時の流れの恐ろしさ。朝方にキラキラ多めの爽やかトランス感。
Jimmy Edgar - Hot Inside
Jonas Hahn (DE) - Prism
Robert Dietz - Nostaljack
Dominik Eulberg - Opel Tantra
FUMIYA TANAKA (Berlin)
ベルリンの人。今年もスカスカで色気のあるテックハウスで締め。
今年のWIREガールは「萩原みのり」。「うえむらちか」「久保田紗友」と可愛い感じの人が続いて、今年は随分クールな美人さんだなあと思ったら16歳でした。