Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 東京女子流「Killing Me Softly」発売記念ミニライブ@ららぽーと豊洲

http://tokyogirlsstyle.jp/live/detail.php?id=1015698
http://killingmesoftly.jp/



期待は過剰なまでに膨らんでいた。様々な面で迷走し続けていた東京女子流が、ディスコを標榜したツアーを経験し、そして「Killing Me Softly」というメロウ・グルーヴをタイトルに掲げたアルバムをリリースする。アルバムの店着日であるこの日は、そんな事に完全に浮かれきっていた。



Lori Lieberman - Killing Me Softly With His Song


Roberta Flack - Killing Me Softly




ららぽーと豊洲、かつては石川島播磨重工業の造船ドックだったその空間。夜の運河と東京湾をバックに、昼の蒸し暑さを過ぎて強めの海風が気持ちいい、平日の仕事の後に味わう夜の臨海の開放感と、そこで東京女子流のライブを楽しむという背徳感にも似た感情。現れたメンバーは「Killing Me Softly」ジャケの衣装。鮮やかで彩度も素敵、この色でケバくならず、人形の様に甘目だけど装飾抑え目なのがいいし、山邊さんだけスカート短めなのがお茶目。本人達も「ドール感」という大人が使うにはやや危険な言葉を自ら用いてその甘さと非現実的のある華やかさを楽しんでいた。ちょっと大人びた分ヒールが高くて踊りにくそう。握手の距離ではびっくりするほど濃い大人アイメイク、そういうアンバランスさが素敵。女子流のライブを観て音の感想以外にメンバーの美しさがここまで印象的だったのは初めてだ。


庄司さんの細かいポイントを拾ってかっちりキめるスタイリッシュなダンスの一方で、新井さんのあまりに細すぎる背中と肩を放り出すようなダイナミックな動きが目を引く。ステージを高い位置から見下ろして、小さいフォーメーションの中でそれぞれが細かく移動する複雑なコレオグラフが展開されていることに改めて気付かされる。





しかしこの時点ではヒールの高さゆえかダンスも不安定で、その不安定さにキャパシティが引き摺られているのか、小西さんだけでなく全員の声に過剰な負荷を感じた。見た目の美しさに対して音の気持ち良さに完全に酔うことはまだ女子流では難しいといういつもの諦めと同時に、また別の思いが頭をよぎる。あれほどアクターズスクール広島でダンススキルを磨きあげてきたPerfumeですら、Perfumeとしてステージに上がる時にヒールを履いてあのダンスを踊ることはなかった。いまやPerfumeの持つアイコンの一つともいえる10センチ近いハイヒール、それはメンバーが高校を卒業する位の時期までは導入されなかった。説明するまでも無い、その美しさと引き換えにするには高校生レベルの体力では負荷が大きすぎるのだ。Perfumeはパフォーマンスの個性を追求する中で、色々な物を切り捨てた。それは今更わざわざ説明することではないと思うが、それによってPerfumeはあの圧倒的な個性を手に入れた。しかし、東京女子流は、歌とダンス、それはそれで当たり前の事だけれど、その二つをあの年齢あの体格にしてはあまりにも過剰なレベルで同時に実現しようとしている。同世代のユニットを観ても、アイドルグループとしての魅力を保ったままあれほどに美しく妖艶なダンスを獲得し得た人達はいない、もう彼女達は既にその位置にいるのに、「二兎を追う者は」という言葉が何度も浮かんでは消える。これまでavexが生み出してきた数々のダンス&ヴォーカルグループは、アイドルに限らずどのユニットを観てもヴォーカル担当とダンス担当を明確に分けている。勿論SPEEDでもそうだったのだ。このままこの加速度的に美しさを増してゆくグループは自らに課した負荷の中で自壊していくのではないか、二度目の日比谷野外音楽堂公演を目にするまであと二週間、この時点ではそう感じることをまだ否定はできなかった。



東京女子流 / 4th Album Killing Me Softly 全曲ダイジェスト


東京女子流 - Killing Me Softly


  1. ちいさな奇跡
  2. Partition Love
  3. Mine
  4. 十字架
  5. Killing Me Softly
  6. おんなじキモチ


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