Aerodynamik - 航空力学

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それでもPerfumeの楽曲はiTMSでは手に入らない


日本版
http://itunes.apple.com/jp/album/id448299416

US版
http://itunes.apple.com/us/album/id440060340


7/27に、「カーズ2」のサウンドトラックアルバム日本国内盤が発売となった。もちろん、本編挿入歌である「ポリリズム」が収録されている。
既に一か月ほど前から、海外のiTMSAmazon MP3では、同アルバムのオンライン配信が始まっていた。そしてそこには、海外流通盤CDと同様に、「ポリリズム」が収録されていた。この曲だけが単曲では購入できず、必ずサントラアルバム全曲とのセットでの条件付きではあるが、iTMSでの配信を拒むPerfume陣営にとって、iTMSPerfume楽曲が合法的に配信されるのはこれが初めてだ。非常に画期的なことであり、このことは、一つのブレイクスルーとなりえるものとも思えたし、仮にこの映画やサントラ経由でPerfumeに興味を持ってくれた海外の人達にとって、日本でしか流通していないCDを輸入して購入することは非常に敷居が高く、手軽にPerfumeの楽曲を手に入れてもらうには、P2Pなどの違法手段に頼るのでなければ、iTMSが最も手軽な手段であることは誰の目にも明らかだ。しかしながら、とりあえず現時点では、Amuseが海外のレコード会社と提携し、海外のiTMSでこれまでのアルバムを配信するようなフットワークの軽さは微塵も見えない。
そして、ようやく日本でも始まったiTMS日本版での同アルバムの配信だが、なんとそこには「ポリリズム」の姿はない。日本国内での同アルバムの配信は、パーシャルアルバム扱いとなり、ものの見事に「ポリリズム」だけがアルバムから外された形で配信されている。CMに本人たちが登場してまで大々的に日本国内の「Cars 2」宣伝部隊を務めているにもかかわらずだ。全くもって苦々しい、呆れ返る様な話だ。


ちなみに、中田ヤスタカが最近プロデュースを手掛けた「きゃりーぱみゅぱみゅ」の楽曲「PONPONPON」は、CDリリースに先駆けてiTMSにて世界23ヶ国に配信され、7/21付のフィンランドとベルギーのエレクトロチャートにてなんと1位を獲得している。どういう扱われ方をしているのかは分からないが、とにかく、Crepusculeや、Factory Benelux、そしてあのR&Sレーベルを生んだベルギーでヤスタカサウンドが聴かれている、それだけでも面白い話じゃないか。


iTMSでの配信を拒み続けてきたPerfume陣営が、海外のiTMSから「ポリリズム」を外さなかったことだけでもまだましな話かもしれない。とりあえず、世界中の人達がディズニー映画を楽しみ、「ポリリズム」を耳にし、サントラ盤を買い、そして「ポリリズム」1曲を聴くことはできるのだから。前にも書いたことだが、これは日本の広告代理店がいくら金を積んでも実現できることではない。映画の中に日本を舞台とするシーンがあり、様々な候補の中から、たまたま監督に気に入られた、幸運な一曲だ。しかし、その先が無い。せめて、CDリリースよりは遥かにリスクの少ない、オンライン配信のみでも、海外向けベストアルバムを用意できればよかった。それこそ、「X∞Multiplies」のようなものを。


誤解の無いように何度も書くが、徳間ジャパンは、iTMSでの配信には精力的だ。吉幾三千昌夫iTMSで買う人がどれくらいいるのか分からないが、演歌のカタログでさえもちゃんと揃っている。一方で、Amuseは福山雅治サザンオールスターズポルノグラフィティといった面々に至るまで、iTMSの配信を行っていない。素人目に見ても、AmuseとKDDIau)の合弁レーベル会社「A-Sketch」の存在がネックなのだろうという想像はできる。One Ok RockFlumpool、Weaverなどを育て、さらには自社に所属するミュージシャンの権利をここへ集中させていこうという動きがあることも報道されている。それはそれでビジネスなのだが、この配信環境まで含めての囲い込みは、かつてのCCCDや、ATRAC-3のようなものを連想させる。
2006年にサービスを開始したYoutubeニコニコ動画に上げられた非公式音源がPerfumeのブレイクのきっかけになったことは、Perfume陣営も認識している旨の発言は、何度も公の場でされている。ネットをいかに有効利用すべきか、優先すべきものはなんなのか。違法配信を恐れるくらいなら、それを超える手軽さ、一曲一ドルで売ればいい、そうスティーブ・ジョブズは言った。ルーカスフィルムからPIXARを買収した男だ。